レトロゲーム始めました。

夕方から癒されるゲームを追い求める夕方レトロゲーマー。好きな時に、好きなペースでまったりゲームを楽しみたい人のための場所になればいいなと思っています。

レビュー:フロントミッションセカンド(PS1)

注意

当記事はレビューするにあたり、ある程度のネタバレ要素を含んでいます。

レビューランクのみ見たい場合は下記の目次から直接レビューランクまで移動できます。なにとぞ、ご理解の上、楽しんで読んでいただければ幸いです。

 

 

良ポイント

  • フルポリゴンになりリアルな戦場描写。
  • とにかくCGで描かれるヴァンツァーがカッコいい。
  • AP導入により高度な戦略が求められるようになった。
  • ヴァンツァーの性能、装備できるパーツが多岐にわたるようになり、さまざまな状況に対応するようになったことで、戦略の幅が広がった。
  • リアルな軍事モノとして厚みのある設定群とそれに裏打ちされたストーリーが高度に完成されたものとして表現されている。

 

残念なポイント

  • とにかくロード時間が長く、それが致命的。
  • ミサイルが当たらない。

 

◆目次

 

◆発売当時のFRONT MISSION2(セカンド)

1997年にシリーズ2作目、FRONT MISSION2(フロントミッションセカンド)が発売されました。シリーズとしては初のプレイステーション作品であり、フルポリゴンで描かれたという意味でも最初のフロントミッション作品になります。

なお、フロントミッションシリーズは一部、世界観の違う作品もありますが、この今作は1st以降続くハフマン島を主な舞台とした正史上における2作品目でもあります。

◆今作をプレイするにあたって

前作の1stも、もちろん名作でしたが、2はフルポリゴン化したことで、これまでとは違ったリアルな戦場描写を描くことができるようになりました。

どちらかといえばSF色の強かった前作よりも、よりリアルな戦争とそこで生きる人々を描くポリティカル・フィクションとして進化しました。

前作のように、1人の英雄が戦争を変えるのではなく、多くの人々が関わって戦争と歴史は大きく変わっていくという壮大な群像劇が描かれています。

単純な敵と味方だけではなく、別の思惑を持つ勢力が現れるようになり、それによって登場人物たちの戦争も勝利と敗北の意味が変わるようになってきました。

そこに今作、セカンドの物語としての深みがあります。

常にヴァンツァーという二足歩行の機動兵器で敵勢力を全滅すればいいというゲームではなくなったのです。

フロントミッションシリーズが、ただのシミュレーションRPGではなく、

ドラマティックシミュレーションRPGというジャンルを冠するのは、それだけ膨大な設定群とそれに裏打ちされた緻密なストーリーで描かれているからです。

今作は、プレイステーションに移行したことで、そうした複雑な世界観を描くことができるようになった最初の1作と言えます。

本来であれば、間違いなくPS屈指の名作の部類に入ります。

なお、Nitendo Switchにて今作のリメイクが決定しています。


www.youtube.com

◆システム面

今作は、二足歩行兵器を主体としていますが、リアルな軍事シミュレーターとしての一面があります。

あくまでヴァンツァーという二足歩行兵器は、道具の1つであって、それを運用する戦争という活動には、戦略が必要になります。

ヴァンツァーは万能ですが、全能ではありません。

無限に弾薬を装備できるわけでもなく、持ち運べる物資も限られています。

また持てる武器にも限界がありますし、今作からは重量制限という概念があり、組み上げたパーツによってはセットアップ不能になることもあります。

なので、重要になってくるのが情報です。

まず、このゲームでは一番重要なのは情報です。

戦場に向かう前に、戦場に配置された敵戦力を分析することが重要です。

航空支援があるのか、敵の戦力は近接武器を持ったヴァンツァーがどれくらいいるのか、格闘武器を持ったヴァンツァーはどれくらいいるのか。

当たり前ですが、格闘武器を持った味方に敵航空兵力を攻撃することはできません。

遠距離攻撃ができる味方がいたとしても、攻撃を当てられる能力がなければ意味がありません。

敵兵力を分析し、制限がある中で、適切かつ最良のヴァンツァーにセッティングすることで戦略を練ることが大事です。そして、そこがフロントミッション2の面白さでもあるのです。

制限はありますが、状況に合わせて二足歩行兵器を自由自在にカスタマイズし、柔軟な発想で戦略を練って戦う面白さは、他にはなかなかありません。

単純にレベルを上げて、強力な武器と装備を持てば勝てるという仕様ではなくなっています。それだけだと本当に勝てません。

言ってみれば、敵兵力の分析と味方兵力のセッティングの時点ですでに、ゲームはは始まっていると言えます。

フロントミッション2は実際の戦闘と、事前の分析と準備のバランスが同時に重要になってくるという意味で、当時としては戦略性の深さを極限まで追求しています。

 

また、システム面については、今作から新たにAPという概念が実装されています。

自機の行動能力を示すポイントで、移動、攻撃、反撃、防御等々、すべての行動に消費APがあり、いずれもこのポイント内でプレイヤーは自機をコントロールすることになります。

また、このAPは周囲に敵機がいると減ってしまいますし、なんらかの妨害スキルによってもどんどん削られていく仕様になっています。

つまり、敵機を味方機で取り囲んでしまえば、敵機は何も行動できなくなってしまいます。逆に敵に取り囲まれてしまうと、味方機は行動できなくなり、敵からの攻撃にさらされるままになります。

このAPという概念が今作から実装されたことによって、より濃密で深い戦略性が生まれました。

単純に強力な武器で敵のHPを削っていくだけのゲーム性などではなく、いかに敵に行動させないかが重要な戦略ゲームになってきます。

ストーリーが進んでいくと、より強大な敵機動兵器が登場するようになり、凄まじい火力を備えながら、同時にいっきに回復する能力まで持っている敵に対して、ただ攻撃を与えていくだけでは到底勝てなくなってきます。

いかにして、敵の行動を阻み、その上で有利な立ち位置から攻撃を与えるかが重要になってきます。

単純で基本的ですが、もっとも有効な戦略というのは、多数で少数の敵を攻撃することにあります。そうした状況をいかに作るのかという点において、より頭脳的であることが求められます。

 

さらに今作ではスキルという概念も実装されています。

戦闘時に発動するバトルスキル、敵味方に影響を与え、敵の行動力や味方のステータスに影響を与えるなどのオーナースキル、そしてヴァンツァーのコンピュータが常時発動しているコンピュータスキルがあります。

中でもバトルスキルは敵への攻撃の際、さまざまな能力を発動して戦闘を有利に運ぶというものですが、セッティング画面でスキルを装備することによって戦闘中、ランダムに発動します。

またバトルスキルは発動した際、さらに別のバトルスキルが発動するスキルチェーンが発動することがあります。銃器などの武器で攻撃している場合、弾数が残っている限り、このスキルチェーンが発動した際に攻撃が続くことになり、強力な敵も1ターンで撃破することが可能になります。

◆ミサイルが当たらない理由

個人的な想像ですが、こうしたAPという概念を中心とした戦略性を前面に完成させるために様々なところで言われていることですが、『ミサイルが当たらない』と言われるような仕様になっているのだと思います。

フロントミッション2では主な批判ポイントとして、

まずロードが長いというのがありますが、それと加えてもう一つよく言われるのが、とにかく「ミサイルが当たらない」ということです。

ミサイル系の遠距離武器はもともと攻撃力が高いのですが、APという概念を戦略の中心に据えたゲーム性において、この遠距離特化の兵器は敵機に当たれば概念破壊の何者でもないわけです(苦笑)

開発者として、せっかく導入したAPという概念を武器にプレイヤーには戦って欲しかったのでしょう(苦笑)

ただ、それにしても当たらな過ぎました(苦笑)

APをメインに据えた戦争を描くのはいいとしても、あそこまで当たらない仕様では、そもそも何のためにミサイルなんて武器があるのか分からないくらいに、ただの飾りと化していたのは、やはりバランスが悪すぎたでしょう。

◆シリーズ屈指の練り込まれたストーリー

西暦2102年6月、OCU(オシアナ共同連合)の発展の陰で貧困に喘ぐ南アジアのO.C.U.アロルデシュ人民共和国(現バングラデシュ民共和国)において、祖国の窮地を嘆くアロルデシュ軍兵士たちが一斉に蜂起した。アロルデシュ陸軍ヴェン=マッカージェ中佐を中心とした「革命軍」は政府関連施設やOCU軍施設を制圧、OCUからの独立を宣言。アロルデシュ出身でOCU海防軍所属のアッシュは、否応なしに巻き込まれた革命軍との戦いの過程で陸防軍大尉のトマス、国際的密輸組織のボスであり愛国者のサリバシュ、情報部所属のリーザなどと出会い、やがて自らの因縁、そしてクーデターの裏に隠された陰謀を知ることとなる。

wikipediaより

 

前作はどちらかといえばSF色が強いストーリー内容でした。

主にバイオニューラルデバイスというガジェットとその正体に関わる一大スキャンダルについての物語でした。

今作はそういったSF的ガジェットは登場しませんが、代わりに深く関わってくるのが、歴史です。

今作の主な舞台はハフマン島ではなくOCUアロルデシュ人民共和国で、そこで起こる内戦がストーリーの中心になります。

まず、このアロルデシュ人民共和国は架空の国家ですが、元はバングラデシュという南アジアに現実に存在する国です。

このアジアの国が、後にハフマン紛争というOCUとUSNの二大勢力が起こす戦争に巻き込まれ、そこで平和に暮らしていたはずの人々が、ある日突然、血生臭い代理戦争に参加させられていくという歴史的背景があります。そういった出来事の1つ1つが現実のリアルな戦争と重なって、プレイヤーに様々な問題提起をしていきます。

戦争特需によって、それまで貧しかった国が、OCUからの潤沢な資金投入を受けて工業化が進み、兵器工場として突然いっきに発展していったものの、やがてはその戦争も終わり、兵器工場としての役割を失ったバングラデシュは、OCUやその他の軍需産業から見限られ捨てられます。経済成長は低下していき、路上には失業者が増え、外国企業が撤退していく中、OCUに経済支援を要請してみれば、OCU加盟を条件に出されてしまうわけです。

バングラデシュからOCUアロルデシュ人民共和国と改めるようになると、もはや国としての誇りも失い、人々の心は荒んでいきます。

やがて、OCUに加盟したことで、代理戦争にも巻き込まれていくわけですが、こうした一国の興亡が、大国の都合によって決められていき、人々の心が荒んでいってしまう様子は、まさに現実の国際情勢を反映しているものがあります。

そうしたリアルな国際情勢を背景に描かれる戦争の物語は、非常に濃密で緊迫感があり、またそこに生きる人々の息づかいまでもを感じるリアリティがあります。

物語冒頭で、1人の兵士が愚痴るシーンがあるんですが、「かつては世界の兵器工場として発展したこの国が、今はもはや打ち捨てられた工場やスクラップだらけで自国のヴァンツァーの修理すら出来なくなっている。こうして他国に修理を依頼しているのは情けないにもほどがある」というこのセリフは、まさにプレイヤーに、今のアロルデシュという国の現状を知らせる上で、これ以上ない演出だったと個人的には思っています。

オープニングムービーの閉鎖された遊園地と、スクラップの山から突き出たヴァンツァーの腕という演出も個人的にはとてもツボに入りました(笑)

こういう見せ方は本当にカッコいい。


www.youtube.com

どうですか? この荒廃の美学は(笑)

もちろんSwitch版も見ていてカッコいいとは思うんですが、こういった少しザラついた映像で見せる鋼鉄と錆びの感触、煤けて色あせた世界観、少し寒々しい雰囲気、そして重苦しいBGM、どれをとってもオリジナルの完成度の高さは特筆に値します。

◆前作と比べて

前作ではロイドという主人公がいました。

彼の視点で物語を追いかけていくことになりましたが、今作では様々な登場人物が、

さまざまな事情を抱えて戦場で戦っていきます。

いわゆる群像劇という形でアロルデシュで起きた内戦の真実を探っていくことになります。

入り組んだ物語になりますが、それらがやがて1つの真実に結びついていく展開は圧巻です。

 

一つ残念ではあるんですが、今作は間違いなく名作ですが、一般的にはあまり高く評価されてはいません。

その最大の理由は、とにかくロード時間が長いことです。

前作はスーパーファミコン作品でカートリッジ式のソフトにロードという概念は、基本ほとんどありませんでしたが、プレイステーションソフトになりCDの読み込みには多大な時間がかかるようになりました。

これがとにかく今作の良さをすべてを台無しにしていたといっても過言ではないでしょう。そして並んで言われるのが前述のミサイルの当たらなさです。

戦闘中にロードが長いのは致命的なのですが、そのロードの長さの末にミサイル攻撃がすべて当たらなかったときのストレスは、言葉にしようがありません(苦笑)

ゲームアーカイブスになり、HDDやメモリースティックにインストールできるようになってこの問題はいくらか改善はされましたが、当時はとにかく不評でした。

◆レビューランク

ランク
C
ストーリー

:★★★★☆

オリジナリティー :★★★★☆
グラフィック :★★★☆☆
音楽 :★★★☆☆
やり込み度 :★★★☆☆

 

今回の記事が面白かった、役に立ったと思っていただけたら、良ければ↓のブログランキングにポチをお願いします。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 


レトロゲームランキング

にほんブログ村 ゲームブログ レトロゲームへ
にほんブログ村

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

 

© 1997 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.